イランによるカタールのLNG施設攻撃で欧州のガス価格が倍増し主要供給国による代替供給も困難な状況にある
イランによるカタールのラスラファンLNG施設への攻撃を受け、欧州の天然ガス卸売価格は2月下旬の紛争開始から2倍に上昇した。カタールは世界のLNG供給の2割を占めるが、輸出への影響は最長5年に及ぶ見通しだ。ノルウェーや米国などの主要供給国に増産の余力が乏しい中、欧州ではエネルギー確保への懸念が広がっている。
イランによるカタールのラスラファンLNG複合施設への攻撃は、欧州を含む世界のガス供給リスクを浮き彫りにした。世界全体の液化天然ガス(LNG)供給の20%を占めるカタールは、今回の攻撃により輸出への影響が最大5年間に及ぶ可能性があると発表している。 欧州連合のデータによると、カタールはEUのLNG供給の約9%を担っている。イランによる船舶への脅威を受け、ペルシャ湾からのタンカー通行が事実上停止したことで、カタールは生産を中断した。カタールエナジーはミサイル攻撃により複数の施設が甚大な被害を受けたと報告している。主な影響を受けるのは、同社のLNGの約8割を購入する中国、日本、インドなどのアジア諸国だが、アジア勢がスポット貨物の確保に動くことで、欧州にも波及効果が及ぶと見られる。 ノルウェーは欧州最大のガス供給国であり、2025年時点で域内供給の3分の1以上を占めている。しかし、同国の国営ガス生産会社であるエクイノールは3月上旬、増産や輸出拡大の余力はないとロイターに語った。また、2025年にEU最大のLNG供給源となった米国も、施設がフル稼働に近い状態で短期間の供給増は困難な見通しだ。米国内ではガス価格の上昇を受け、エネルギー集約型産業から輸出制限を求める声も上がっている。 2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、EUはロシア産エネルギーへの依存脱却を進めてきた。かつて40%を超えていたロシア産ガスのシェアは、2025年には約13%まで低下。2027年末までの完全輸入禁止を目指している。ハンガリーなどの一部の国は制裁解除を求めているが、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は次のように述べている。 > ロシア産エネルギーへの回帰は戦略的な誤りであり、欧州をより脆弱にするだろう。 2月28日にイランとの紛争が始まって以来、欧州のガス卸売価格は倍増した。指標となるオランダの期近物は3月19日に一時メガワット時あたり74ユーロを記録し、2023年1月以来の高値となった。











