独半導体エルモスが身売りを検討しモルガン・スタンレーを助言役に起用してインフィニオンなど大手と初期交渉を開始
車載用半導体を手掛ける独エルモスが、創業者の事業売却意向を受けて身売りを検討していることが明らかになりました。同社はモルガン・スタンレーを助言役に起用し、米クアルコムや独インフィニオンなどの競合他社を含む潜在的な買い手と初期段階の交渉を開始しています。半導体業界では再編の動きが一段と加速しています。
ドイツの半導体大手エルモス・セミコンダクターが、創業者の出口戦略に伴い、事業売却の可能性を模索していることが分かりました。関係筋によると、同社は約23億ユーロ(約25億ドル)の時価総額を有しており、売却プロセスの助言役としてモルガン・スタンレーを指名したとのことです。
同社はすでに、世界の主要な半導体企業を含む複数の買い手候補と初期段階の交渉に入っています。関係者の一人は、車載用チップ事業の強化を目指すドイツのインフィニオン・テクノロジーズや、米国のクアルコムが有力な候補になり得ると指摘しています。現時点でインフィニオンはコメントを拒否しており、クアルコムも取材に対する回答を寄せていません。

1984年に設立されたエルモスは、車両の安全システムや照明、パワートレイン向けの半導体設計を主力としています。共同創業者の一人であるクラウス・ウェイヤー氏は、自身の投資会社を通じて20.7%の株式を保有しており、他の創業者関連の団体と合わせると同社の過半数の株式を実質的に支配しています。このため、いかなる売却取引においても、これら内部関係者の意向が決定的な影響力を持つことになります。
エルモスは近年、ビジネスモデルの転換を進めてきました。2024年末にはドルトムントのウェハー工場を米国の産業技術企業であるリテルヒューズに売却し、自社での製造から設計特化型へのシフトを鮮明にしています。2025年度の売上高は5億8,260万ユーロと過去最高を記録しましたが、利払い・税引き前利益(EBIT)は前年比約13%減の1億2,570万ユーロにとどまりました。同社は2026年度に約11%の増収を見込んでいます。
半導体業界では現在、車載や産業用チップ分野での規模拡大を目的とした再編が活発化しています。直近では、クアルコムが英国のアルファウェーブ・アイピー・グループを24億ドルで買収したほか、インフィニオンも車載ネットワーク関連事業を約25億ドルで買収するなど、戦略的なM&Aが続いています。
ただし、エルモス側が最終的に取引を進めない決断を下す可能性もあり、ドイツの規制当局による厳格な審査が行われることも予想されます。






