サウジアラムコのナセルCEOがイラン紛争を理由に国際エネルギー会議CERAWeekへの出席を中止し国内に留まる
サウジアラムコのアミン・ナセルCEOは、イランとの紛争が激化する中、ヒューストンで開催される国際エネルギー会議「CERAWeek」への出席を急遽取りやめた。ホルムズ海峡の封鎖や石油施設への攻撃が続く中、同氏は国内に留まり危機対応に当たる。クウェート石油公社のCEOも現地入りを見送るなど、緊張が続いている。
サウジアラビアの国営石油大手であるサウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)が、アメリカ合衆国のヒューストンで開催される主要なエネルギー会議「CERAWeek」への出席を急遽取りやめたことが明らかになりました。業界筋がロイターに語ったところによると、ナセル氏は激化するイランとの紛争対応に専念するため、国内に留まる決断を下したとのことです。
S&Pグローバルが主催するこの会議は、世界中の政府高官や業界幹部が集まり、エネルギー市場の展望を議論する世界最大級のイベントです。例年、ナセル氏は主要な登壇者の一人として注目を集めますが、今回は現地入りを見送るだけでなく、ビデオメッセージの提供も行わない方針です。この決定は、同氏が直面している危機の深刻さを物語っています。
現在4週目に入った紛争では、すでに2,000人以上の犠牲者が出ており、世界のエネルギー市場を大きく揺るがしています。イランによる報復攻撃は、世界の石油供給の5分の1が通過するホルムズ海峡を事実上封鎖し、アラムコを含む湾岸諸国のエネルギーインフラを標的にしています。

アラムコは現在、新型コロナウイルスのパンデミックや2019年の施設攻撃以来となる深刻な危機に直面しています。ナセル氏は3月10日の決算説明会で、市場への影響について次のように警告しました。
「イランとの戦争がホルムズ海峡の混乱を招き続ければ、世界の石油市場にとって壊滅的な結果をもたらすことになるでしょう。」
同社は海峡を回避するため、原油を東海岸から西海岸へパイプラインで輸送する措置を講じていますが、2つの油田で日量約200万バレルの減産を余儀なくされています。また、イスラエルによるイランのガス田への攻撃に対する報復として、3月19日にはエクソンモービルとの合弁事業であるSAMREF製油所がドローン攻撃を受け、一時的に積み込みが停止する事態となりました。
この攻撃の波は周辺国にも及んでいます。クウェート石油公社のナワフ・アル・サバーCEOもヒューストンへの出張を断念し、オンラインでの参加に切り替えました。また、カタールのラス・ラファンLNG複合施設も被害を受けており、カタールエナジーの責任者は、同国のLNG生産能力の17%が最長5年間にわたり停止する可能性があると述べています。
アラブ首長国連邦の政府系ファンドであるムバダラ投資会社も代表者の派遣を見送る可能性が高く、ADNOCのスルタン・アル・ジャベルCEOの出席も不透明な状況です。昨年の会議でジャベル氏は、エネルギー投資の重要性を強調し、次のように述べていました。
「エネルギーを再び偉大なものにする時が来ました。」
一方、ナセル氏は昨年の同会議で、現在の化石燃料からの脱却計画について次のように述べ、現実的なエネルギー転換の必要性を訴えていました。
「現在のエネルギー転換計画が成功する可能性は、エルヴィス・プレスリーが語りかけてくる可能性よりも低いでしょう。」











