豪証券投資委員会がASXの統治不全を報告し株主還元を優先したことで市場インフラの耐性が損なわれたと指摘
オーストラリア証券投資委員会はASXに関する最終報告書を公表し、株主還元を優先するあまり市場インフラの回復力が損なわれたと指摘しました。報告書はガバナンスの欠如やリスク管理の不備を強調し、抜本的な変革が必要であると結論付けています。過去のシステム障害や開発の失敗を受け、当局は厳しい監視を続ける方針です。
オーストラリアの証券取引規制当局は、国内最大の市場運営会社であるASXリミテッド(オーストラリア証券取引所)が、システムの回復力よりも株主への還元を優先させていたとする最終報告書を公表した。 オーストラリア証券投資委員会(ASIC)が発表したこの報告書は、独立調査パネルによるもので、ASXにおけるガバナンスの脆弱性とリスク管理の不備を厳しく指摘している。報告書によると、同社は重要な市場インフラの維持・強化よりも、株主利益の最大化を重視する傾向があったという。ASICは、ASXが市場インフラの「スチュワード(受託者)」としての自覚を欠いており、リスク管理やコンプライアンスの慣行をビジネスプロセスに深く浸透させる必要があると結論付けた。 ASICのジョー・ロンゴ委員長は、今回の調査結果の重要性について次のように強調した。 > 「この最終報告書に示されたさらなる証拠と主要な見解は、ASXが重要な市場インフラの受託責任を果たすために必要な変革の規模を裏付けるものである。」 ASXを巡っては、近年多くの技術的トラブルや運用のミスが相次いでいた。2020年には取引量の急増に伴うシステム障害でほぼ全日の取引停止を余儀なくされ、ASICによる調査のきっかけとなった。また、2017年から進められていたブロックチェーン技術を用いた清算・決済システムの刷新計画は、最終的に失敗に終わり、市場参加者や規制当局、中央銀行に大きな失望を与えた。 さらに、2025年8月の社名取り違えミスや、昨年12月の発表プラットフォームの停止など、運用面での課題も継続的に発生している。 規制当局は、これら一連の問題に対する措置として、昨年12月にASXに対し1億5,000万豪ドルの追加資本賦課を決定している。今回の最終報告書は、同社に対し抜本的な組織改革を迫る内容となっている。









